SAINT MALO : 城壁に囲まれた美しいブルターニュの街


 

SAINT MALO

サン・マロは、ブルターニュの港町であり、リゾート地としても人気の高い街です。
17世紀終わりごろまでフランス最大の港として繁栄したサン・マロ。カナダを発見したジャック・カルティエをはじめとする数々の航海者がこの港から旅立っていきました。また、かつて多くのコルセール(政府から許可を得て敵船の略奪を行う船)がこの街を拠点として近海で活躍した歴史から、「海賊の街」としても知られています。

今回は、ロマンがたっぷりつまったこのサン・マロについてご紹介します。

 

パリからサン・マロへの行き方
パリ・モンパルナス駅からTGVで3時間ほどで、サン・マロ駅に到着します。駅から旧市街までは徒歩で20〜30分、バスでは10分弱で、バス停は駅を出てすぐのところにあります。

 

LA PORTE SAINT-VINCENT サン・ヴァンサン門

サン・マロの旧市街をぐるりと囲むおよそ2㎞の城壁。12~17世紀にかけて初めて建設され、当初は16ヘクタールを囲っていたそうですが、18世紀に行われた拡張で28ヘクタールにまで広がったのだそう。その拡張の際、1709年につくられたのがこちらのサン・ヴァンサン門です。ここをくぐって旧市街へと入っていきましょう。また、門のすぐ近くには、街の観光スポットを回っているかわいらしい列車、ル・プティ・トラン(Le Petit Train)の搭乗場所があります。あまり観光する時間がない!という方は、この列車に乗ると、効率良く快適に街を見て回ることができますよ。

住所 : Place Gambetta, 56000 Vannes

 

城壁の上は、今では人々の散歩道となっています。ちょくちょく階段があるので、好きなところで上り下りが可能。海を見渡す素晴らしい景色が広がっています。

 

SANCHEZ L’ARTISAN GLACIER サンチェス・ラルチザン・グラシエ

旧市街の中、レストランやカフェ、お土産ショップなどが集まる賑やかな界隈で、ひときわ人が集まるのが1992年に創立されたアイスクリーム屋さん、サンチェス・ラルチザン・グラシエ(Sanchez l'Artisan Glacier)。産地と質にこだわって選ばれる材料を使ったアイスクリームが評判で、バカンス期間は長い行列ができていることもしばしば。フレーバーが豊富なのも魅力で、王道のバニラやチョコレートはもちろん、ブルターニュらしい塩キャラメルや、コクリコ(ひなげし)、苺とバルサミコ酢などのユニークなものまで色々揃っているので、味を決めるのが大変!

住所 : 9 Rue de la Vieille Boucherie, 35400 Saint-Malo
営業時間 : 毎日 7:00-20:00
価格帯 : 3~7€

 

LE CORPS DE GARDE ル・コール・ドゥ・ギャルド

ブルターニュ地方に来たら欠かせないのが、そば粉でつくられるクレープ、ガレット。こちらのクレープ専門店、ル・コール・ドゥ・ギャルド(Le Corps de Garde)では、海に面した最高のロケーションでガレットを楽しむことができます。ガレットの中身の選択肢は様々。王道のガレット・コンプレット(卵・ハム・チーズ)も捨てがたいですが、おすすめは、ガーリックバターとホタテのガレット、レ・コンテス(Les Comtesses)。香ばしいガーリックバターで焼かれたホタテとさくさくのガレットの組み合わせが絶妙でした。

住所 : Montée Notre Dame, 35400 Saint-Malo
営業時間 : 9:00-22:00
価格帯 : 8~15€

 

城壁にはいくつも海岸へとつながる門があります。そこをくぐると、目の前には深いエメラルド色の海が広がる美しい光景が。

 

GRAND BÉ & PETIT BÉ グラン・べ島 & プティ・ベ島

写真に見える大きな島(右手前)と小さな島(左奥)は、それぞれグラン・ベ島(Grand Bé)、プティ・べ島(Petit Bé)。漫画「のだめカンタービレ」でご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。満潮時にはこうして二つの独立した島のようになっていますが、干潮時には両方の島へと歩いて渡って行くことができます。17世紀頃、これらの島は要塞として、外国の船から島を守る拠点だったそうです。

 

また、グラン・ベ島は、サン・マロに生まれたロマン主義の作家、シャトーブリアンの墓があることで有名です。1848年にパリで亡くなりましたが、生前から海を眺めることのできるグラン・ベ島の岩場へ埋葬されることを望んでいたのだそう。今日も波の音が聞こえるこの場所に、静かにたたずんでいます。

 

グラン・ベ島はそれほど大きくないので、すぐに一周することができます。上の方に行くと海風が涼しく、美しい風景を眺めながら一休みするのも良いでしょう。

 

LA MAISON DU QUÉBEC ラ・メゾン・デュ・ケベック

カナダのケベック州についての知識普及、フランスとの関係強化を目的につくられたラ・メゾン・デュ・ケベック。ジャック・カルティエのカナダ発見の航海の出発地で、ケベックにとって縁の深い地ということもあり、サン・マロが選ばれたそう。
ここはかつてコルセールが集まる「海賊の都市」として悪名を馳せた場所で、英仏海峡を通行する英国船との戦い、略奪が繰り返し行われていました。写真中央の像は、19世紀初頭に大活躍したコルセール、Robert Surcouf。1816年、サン・マロへやってきた12人のプロイセン兵と決闘になったとき、見事な剣さばきでたちまち11人を殺し、残った12人目に「国に帰って、旧ナポレオン軍の兵士がどのように戦うのかを伝えろ」と言ったという伝説を持っています。

ちなみに、ラ・メゾン・デュ・ケベックでは、毎年5月から8月末まで、ケベックのアーティストたちの作品の展示会や映画の上映会など、ケベック文化を振興するための様々なイベントが行われています。

住所 : 2 Rue des Champs Vauverts, 35400 Saint-Malo

 

12世紀に城壁の建築が始まってから、19世紀まで継続的に補強が行われてきましたが、実は第二次世界大戦時、アメリカ軍によって街のほとんどが破壊されたという悲しい歴史があります。約12年にも及んだ忠実な戦後の復元作業のおかげで、今私たちはこのように昔と変わらず美しいサン・マロの姿を見ることができるのです。

 

O' BON PARIS' NOTE

世界遺産、モンサンミッシェルからバスで1時間の距離なので、併せて観光をするのもおすすめです。O'bon ParisのおすすめはFlixbus。一日一便しかありませんが、片道およそ5€とお手頃です。

心の和む美しい景観のあるサン・マロ、一度訪れてみてくださいね。

 


文、写真 : Yuna Lee

訳 : Rei Nishiyama



シェアする

#ハッシュタグ