オランジュリー美術館BEST6

オランジュリー美術館で見るべき名作まとめ

印象派からポスト印象派までの軌跡

パリ モネ 睡蓮 オランジュリー美術館

オランジュリー美術館は印象派ファンにとっては聖地といえるほどの必見美術館。ここにはかの有名なクロード・モネの睡蓮の連作があるからです。オランジュリー美術館はチュイルリー公園内にあり、メトロのコンコルド駅から徒歩5分。美術館自体は一見小さく見えますが、睡蓮だけでなく他にも印象派以降の美術の進化の足跡を辿ることができる豊かなコレクションが揃っています。19世紀に革新的とされた印象派美術、そこからインスピレーションを受けて発展していった20世紀芸術へと続く前衛芸術の歴史を語りかけてくれる美術館です。

オランジュリー美術館 - ピカソ

オランジュリー美術館で見るべき作品まとめ 美術館に入ると、大きな窓から太陽の光が差し込み、明るい館内に驚かされます。 1階にはモネの「睡蓮」、地下1階にはカフェと土産物店があり、現在のコレクション、地下2階には特別展示が行われます。2つの大きな楕円形の部屋の壁を覆うクロード モネの 8 つの大きな睡蓮作品だけでなく、アルフレッド シスレー、クロード モネ、ポール セザンヌ、アンリ マティス、パブロ ピカソ、ポール ゴーギャン、キース・ヴァン・ドンゲンなど有名画家の作品も見学できます19世紀の印象派から、前時代の影響を受けた20世紀の芸術に至るまで、革命的な美術史の流れを辿ることができます。オランジュリー美術館で見逃せない6つの作品をご紹介します。

 

 

1

クロード・モネ, Claude Monet - 睡蓮, Les Nympheas

モネ 睡蓮 パリ 美術館

オランジュリー美術館には8つのパネルに描かれた睡蓮の連作が2つの楕円形の展示室に贅沢に配置してあります。各パネルが高さ2m、幅91mと巨大で、360度取り囲むように展示されているため、モネの住んでいたジヴェルニーの蓮池のパノラマビューに浸ることができます。8つ全てのパネルに蓮池が描かれていますが、それぞれが全く違った雰囲気。彼の他の連作、「ルーアン大聖堂」や「積みわら」に見られるように、モネは季節や時間帯によって変わる光を捉えることを追求した画家であるからです。

モネはこの作品を第一次世界大戦後に完成させました。この事実を知ると、作品に込められた彼の強い感情や平和への祈りを感じます。特にほとんど黒に近い暗い影や明るく優しい色合いの静かな水面に映る穏やかな空は、両者がそれぞれの雰囲気を引き立て合いさらに強いメッセージ性を感じます。作品上には特に遠近法は使われていませんが、水紋、花、空、雲、木など画面上の要素の一つ一つが絶妙なリズムを作り上げています。それに加え、モネの色彩へのこだわりから絵の具をそのままキャンバスの上に載せ、キャンバス上で混ぜ合わせていた特徴的な描き方も見て取れます。そこから創り出される立体的な一つ一つのタッチは風や水の動き、自然の中の生命力、そして社会や愛する人々の儚さをも感じさせます。この全ての要素が自然の無限性、又は彼の思考を映し出しているといえるでしょう。

この幻想的でスピリチュアルな空間は、パリの都会の喧騒からの逃げ場所のよう。この展示室はパリで、もしくは世界で最も美しい場所の一つと言えるでしょう。

 

 

2

オーギュスト・ルノワール, August Renoir - ピアノによる少女たち, Jeunes filles au piano (1892)

オランジュリー美術館 ルノワール

上の写真は1892年に描かれたオーギュスト・ルノワールの「ピアノによる少女たち」。モネとは異なり、形の表現、女性の肖像画に焦点を当てた彼らしい作品です。ルノワールにとって白いドレスは女性の美しさを象徴する重要なものであり、それゆえ生涯幾度と白いドレスに身を包んだ女性のポートレートを描きました。印象派芸術の好んだ当時の新しい文化を取り入れたモダンな日常生活の風景が描かれています。この作品では柔らかく繊細なタッチで二人の少女の純粋な喜びに満ちた世界を表現しています。モネの少し抽象的とも言える表現とはまた違った雰囲気がルノワールの作品にはあります。

 

 

3

ポール・セザンヌ, Paul Cézanne - Pomme et biscuits (1879 - 1880)

オランジュリー美術館

セザンヌといえばサント・ヴィクトワール山とリンゴ。上の写真はセザンヌが何度も好んで描いたリンゴの作品「POMME ET BISCUITS」で、1879 - 1880年に欠かれた作品です。セザンヌは彼自身のヴィジョンや考えを映し出す鏡として作品を作り上げていました。上の作品では、リンゴを本物よりもよりリンゴらしく書かれています。というのも、彼は赤くて丸いリンゴそのものにまつわる重量感やダイナミックさに焦点を当てたからです。この理論についてより深く知りたい方にはパリ国立ピカソ美術館で現在開催中の企画展がをチェックするのがおすすめ。自身の目の前にある風景を自身の感性で描いた印象派から、画家自身の内にあるヴィジョンを作品を通して表現している後期印象派へと進化しています。

 

 

4

アンリ・マティス, Henri Matisse - Odalisque à la culotte rouge (1924-1925)

パリ マティス

フォーヴィスムの父、アンリ・マティス。フォーヴィスムこと野獣派は、1905年のサロン・ドートンヌにてその前衛的な色使いから名付けられました。彼は人間の純粋な欲望や深く隠れされた顔などの純粋性を追求しました。19世紀にマネがスキャンダルを巻き起こし民衆に受け入れられなかった「オランピア」。20世紀にはその「オランピア」が最も人気のインスピレーション源とされ、マティスも上の作品では全く同じ構図、主題を描いていることがわかります。

伝統的な主題にも関わらず、作風に目を向けると当時の新しいトレンドを発見することができます。ビビッドカラーと彼女の顔のミニマルな表現は「プリミティブ」と呼ばれたアフリカ・オセアニア文化の影響。全体的に平坦な奥行きのない表現と奥のパネルの柄はジャポニズムである日本の版画から。そして女性の服装にはオリエンタルな趣向が見えます。この絵画は、20世紀の社会の動きからくるこの時代のアートの変化を物語っています。ブルジョワ的趣味を描き社会上層から好まれた印象派とは異なり、産業化されていない文化に焦点を当てたのがこの時代のアートでした。

 

 

5

パブロ・ピカソ, Pablo Picasso - Grande Nature Morte (1917-1918)

オランジュリー美術館 

マティスと親しくしていた20世紀芸術のもう一人の巨匠、パブロ・ピカソ。様々な作風の作品を残した彼は、上の作品のようなキュビスム作品も有名なものの一つ。キュビズムの走りとも言われるセザンヌのように、ピカソも物体を観察します。しかし、ピカソの場合はその物体をその後分解し、最終的に再構築します。このプロセスこそがキュビスムアートの特徴。上の作品は沢山の直線から構成されており、複数の視点から物体を観察し、その複数の面を2次元的に再構築しています。この彼独自のアプローチは物体のリアリティに迫る新たなアプローチの仕方です。

 

 

6

パブロ・ピカソ, Pablo Picasso - Les Adolescents (1906)

オランジュリー美術館 パリ旅行 ピカソ

ピカソの象徴的な絵画「若者たち」は、パートナーのフェルナンデとゴソルへの旅行にインスピレーションを受けて誕生しました。このカタルーニャのピレネー村の大地は、ピカソが 1904 年から 1906 年にかけての「ピンクの時代」に取り入れることができた独特の黄土色をしています。このスタイルは、落ち着いたピンク、青、緑が特徴で、憂鬱と貧困のテーマを探求しました。 瞑想的なポーズをとる 2 人の若者を描いた「若者たち」は、この繊細な色使いと繊細な主題の描写を示しています。興味深いことに、この絵は 1920 年代のピカソの「帰還」期を予感させるものでもあり、それはオランジュリー美術館の大浴場などの他の作品にも反映されています。この間、ピカソは抽象的な実験から離れ、より古典的なスタイルを受け入れました。

 

特別展

オランジュリー美術館

オランジュリー美術館では、コレクションのほかに、19 世紀の芸術や印象派に関連した魅力的な特別展を常に開催しています。美術史の中でも最も輝かしい歴史を持つ美術について、彼らの多彩な展示は常にインスピレーションを与えてくれます。

 

O’bon Paris' tip

オランジュリー美術館

オランジュリー美術館では、ブルジョワのものとされた繊細な印象派美術から、セザンヌのユニークで独創的な作品、隠されたリアリティに迫るダイナミックで革新的な芸術へと移りゆくアートの軌跡を見ることができます。

オランジュリー美術館を賢く最大限に満喫するためのコツはこちらにまとめていますのでチェックしてみてくださいね!

 


著者・撮影 O'bon Paris

オランジュリー美術館BEST6

住所: Jardin des Tuileries Place de la Concorde 75001 PARIS

アクセス: メトロ1, 8, 12番線 Concorde駅

営業時間: 月, 水-日 9:00-18:00(最終入場 17:15) / 火曜休館

入場料 : シングルチケット - 大人 9 €, 18歳以下, EU圏在住者18-25歳 - 無料 / オランジュリー美術館-オルセー美術館コンビチケット ( 各美術館に1度ずつ入場可, 購入日から3ヶ月間有効) - 18 € / Passport オランジュリー美術館-ジヴェルニー・クロード・モネ財団 (クロード・モネ財団は2019年3月22日から11月1日までオープン) - 18.50 € / 毎月第1日曜日 - 無料

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