MAISON EUROPÉENNE DE LA PHOTOGRAPHIE

世界中から集められた現代写真の美術館

マレ地区観光 写真美術館 Maison Européenne de la Photographie

カメラでどこを切り取っても絵になる街、パリ。そのためか、パリはフォトグラファーたちから特別愛される都市でもあります。インスタグラムなどで写真を一般の人でも簡単にシェアできる時代に、Maison Européenne de la Photographieで刺激的な写真作品に触れてみるのはいかがでしょうか?Maison Européenne de la Photographieはマレ地区に位置し、1996年にアートディレクターのJean-Luc Monterossoの指揮のもと設立されました。ここでは情熱を持って集められたユニークな作品が集められていることから写真家達の集まる有名スポットとなっています。フランスだけでなく世界中から集めてきた豪華なコレクションはヨーロッパ最大の写真美術館とも呼ばれています。2018年からは新しいディレクター、Simon Bakerのもとより一層パワーアップした展示がなされています。

 

パリ美術館 Maison Européenne de la Photographie

Coco Capitanの芸術的でどこか親近感の湧く作品

2019年4月には合計3つの展示が行われます。1階では韓国のアーティストの展示が、2階では中国のRen Hangの作品、そして3階ではスペインの写真家Coco Capitanの企画展が行われています。

Coco Capitanは1992年、スペインで生まれました。フォトグラファー兼アーティストである彼女は、現在ロンドンで活動しており、そこで写真を勉強した後、絵画、フレスコ画、デッサン、映像、インスタレーションなど様々な芸術分野を探求しました。グッチ、ディオールなどの有名なブランドやVOGUEなどの雑誌ともコラボレーションするなど、若いながらもとても大きな功績を残している有名アーティストです。

今回の企画展が彼女にとっては初めてのフランスでの展示会で、ここでは150を超える彼女の作品を目にすることができます。彼女の作品では自身の芸術的なインスピレーションや現代社会の抱える問題などをテーマにした様々な作品を見ることができ、豊かな色彩が見る者を彼女の世界観へとぐっと引き込みます。

 

マレ地区アート パリ美術館

COLA IN HAND

消費文化の典型的なアイコンのであるコカ・コーラの缶を利用したポップアート。道端で偶然見た潰れたコーラの缶からインスピレーションを得た作品です。とても見慣れたコーラの缶ですが、それを単なるゴミではなく芸術作品の一部として昇華されています。

 

マレ地区美術館 パリ写真

PORTRAITS OF COCO CAPITAN

彼女は一人で家にいる時間がお気に入りだそう。その時間こそが自分の内面を探求し、作品作りにつながると話しています。彼女自身のポートレートはその現れで、写真を通して自己の探求や自身のアイデンティティを表現されています。

 

マレ地区美術館 MAISON EUROPEENNE DE LA PHOTOGRAPHIE

BOYS IN SOCKS

ヴォーグなどの有名ファッション雑誌に掲載された作品も展示してあります。彼女はファッションフォトグラファーとしても有名だが、今までのファッション写真とは異なる方法で表現しています。ファッション写真とアート写真の境界を曖昧にし、芸術と商業を結合させるなど、ポップアートの後の世代のアーティストとしての顔が見て取れます。

通常のファッション写真はロゴや服のデザインに焦点を合わせる一方、彼女は服よりも写真の中のシチュエーションやモデルの動きに焦点を当てています。特に写真の中左から3番目の「Boys in Socks」という作品はとても有名で、通常は靴下に焦点を当てて撮影しますが、彼女はモデルのアクションや足に描かれた洗濯表示に焦点を当てています。

 

マレ地区 パリ写真美術館

SWIMMER AT THE EDGE OF THE POOL

もう一つの彼女の名作、スペインのオリンピックシンクロ水泳選手達の連作。週6日、1日10時間、ハードなトレーニングに励む選手団を応援しようと企画した作品です。夢を見る人、そしてそれを成し遂げようとするすべての人の努力を応援する心とメッセージが込められています。

 

マレ地区美術館 パリ写真

BLANK DIRECTIONS

Coco Capitanは2017年の夏、アメリカ西部を旅しました。その時に目にした廃墟、何も書かれていない街の標識、放棄された路上に置かれた物から、「すべてのものは、最終的に消える」というテーマについて考えるようになります。人生を単に死に行く旅に考えずに死を生活の一部として理解することによって、現在の生きていこうという意思を示す作品となっています。

 

マレ地区アート 写真 REN HANG

鮮やかな個性とスタイルの中国のアーティスト, Ren Hang

一階降りていくと、別の写真家の展示を見ることができる。Ren Hangというアーティストの<LOVE、REN HANG>という展示がされています。こちらもフランスでは初の企画展で、中国では影響力のあるアーティストで詩人の彼の作品を扱っています。ビビッドな色合いを用いた彼の作風は他とは違ったオリジナルの世界観を作り出しています。自画像、友人、母を写した写真がほとんどでエロスとタナトスについての主に扱われています。革新的で有名ななアーティストでしたが、2017年に北京で自殺をして世界に衝撃を与えた写真家です。

 

マレ地区 写真美術館

ディオールビューティフォトアワード受賞者, Yoonkyung Jang

1階では、韓国人アーティストYookyung Jangの作品も見ることができます。2018年に開催された第1回ディオールビューティフォトアワードで受賞をした写真家。韓国、中国、日本、フランス、アメリカ、ロシアなどから出店された100を超える作品の中から見事受賞を果たした彼女の作品が展示されています。女性の自然ながらも美しい姿を収めた写真やHan川を背景に撮影した写真が印象的です。

 

マレ地区 写真美術館 Maison Européenne de la Photographie

O'bon Paris' tip

Maison Européenne de la Photographieでは、荷物や上着を預けられる無料ロッカーが用意されています。まだ観光客にはあまり知られていない隠れ家的美術館で、ゆったりと作品を鑑賞することができます。マレ地区でアーティスティックなインスピレーションを受けてみてはいかがでしょうか?

 


著者 : Yuka Ishihara

撮影 : Yuna Lee

MAISON EUROPÉENNE DE LA PHOTOGRAPHIE

住所 : 5/7 Rue de Fourcy, 75004 Paris

アクセス : Metro line 1 SAINT-PAUL

期間 : Coco Capitan  2019年3月6日-5月26日 / Ren Hang 2019年3月19日- 5月26日 / Yoonkyung Jang 2019年3月6日- 4月14日

営業時間 : 水-金 10:00-20:00 (木 22:00まで) / 土日 10:00-20:00 / 月-火 休館

料金 : 大人 10€ / 26歳以下もしくは学生 6 €